朝日レントゲン

Cases導入事例

インハウスCAD/CAMシステム「ceramill」導入事例

医療法人 社団 東陽会 和田歯科医院様

院長 和田 勝先生

院長紹介

院長 和田 勝(わだ まさる)先生

昭和41年 大阪歯科大学卒業
昭和51年 現在地(新市にて)開業
昭和55年 インプラント治療導入
昭和60年 AAID(アメリカインプラント学会)
Dr.Charis M Wiss元会長に師事
インプラント研究会(JACID)を設立
平成2年 医療法人 社団 東陽会設立
所属学会

国際口腔インプラント学会会員/日本口腔インプラント学会会員

副院長 和田 圭祐(わだ けいすけ)先生

平成8年 広島大学歯学部卒業
平成13年 名古屋大学医学部大学院(顎顔面外科学)修了
平成20年 ハーバード大学歯学部大学院(歯周病学)修了
アメリカ歯周病学会 専門医
平成23年 アメリカ歯周病学会 ボード認定医
平成24年 ペンシルバニア大学歯学部 歯周病学 准教授
平成27年 広島大学歯学部 客員准教授
ペンシルバニア大学歯学部 客員准教授
テンプル大学歯学部 歯周病インプラント科 主任教授
歯周病専門医プログラム ディレクター
所属学会

アメリカインプラント学会/アメリカ歯周病学会/日本歯周病学会/日本口腔インプラント学会/JOMI誌及びPRD誌の編集委員を務める

導入製品

インハウスCAD/CAMシステム ceramill(セラミル)

ceramillは、高い操作性で短時間に高精度な補綴物を制作することが可能な、AMANNGIRRBACH(アマンギルバッハ)社のオールインハウスCAD/CAMシステムです。
CAD/CAM工程で必要となる全てのコンポーネントを提供している同社のインハウスタイプのトータルシステムを使用して頂くことで、スピーディーに精密な補綴物を製作することができ、納期の短縮、製作コストの削減等のメリットが得られます。

ceramill導入までの経緯

平成21年頃 CAD/CAM導入を検討
平成27年9月 当社営業担当者から案内
平成27年10月 和田歯科医院様にてデモンストレーションを実施
平成28年2月 導入
「福山先端デジタルデンティストリー CAD/CAM CENTER」併設

当社のCT装置AUGEのユーザー様でもあり、インハウスCAD/CAMシステム「ceramill(セラミル)」をご使用いただいております、和田歯科医院の和田院長、竹平マネージャー、高橋主任技工士、東技工士に、ceramill導入に至った経緯と導入後の感想についてお話を伺いました。

院内技工室の概要について教えてください。
和田院長:
30年以上前から院内技工室があり、現在は技工士の方が2名いらっしゃいます。主任技工士の高橋さんは勤続30年近くになり、技工物に対する私の好みも把握されていますので、非常に息が合ったチーム医療ができています。もう一名の技工士の東さんはまだ新しいスタッフの方ですが、CAD/CAMに大変興味を持っており、とても勉強されています。
当医院で使用する技工物は、金属床を除いて、その2名の技工士による院内技工で作っています。自分や患者さんが納得できるまで何度でも技工物を作り直せるのが院内技工の特長です。技工物の作成を外注した場合にはそういったことは出来ません。技工物の品質については妥協したくありませんでしたので、院内技工にこだわりました。

和田歯科医院の和田院長、高橋主任技工士、東技工士

CAD/CAMを導入されようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

高橋主任技工士:
実は院長は30年も前からCAD/CAMについて興味をもっておられました。これまで歯科のメーカーはもちろん、中には合鍵を作るための手動の倣いの機械を用いて技工士の動きをトレースするような機械をセールスに来られた会社もありましたが、適合について満足いくものではありませんでしたし、現実的に使えるものがなかなかありませんでした。

和田院長:
メタルレスの治療を実現するためにもCAD/CAMは必要だと考えていました。そういった中でCAD/CAM導入をより意識したのは6、7年前です。現実的に導入可能なCAD/CAMが出始めていた頃で、実際に見たり、使用させてもらったりしました。それでもまだ適合など性能的にまだまだという感想を持ち、技工物の品質については妥協したくありませんでしたので、購入には至りませんでした。その後もCAD/CAM自体にはずっと興味を持ち続けており、様々なメーカーの製品を研究していました。

ceramillを選定されたポイントは何だったのでしょうか?

和田院長:
当医院ではフルブリッジ、もしくはそれに近い治療が多く、インプラント治療でもフルマウス上下を行うケースが多くあります。他社メーカーのCAD/CAMでは、1、2歯程度か、よくて3歯程度のブリッジしか削れないものが多く、そういったものは選択肢から外れました。
2015年に朝日レントゲンさんの営業担当者から紹介を受けたアマンギルバッハ社のceramillならばフルマウスの症例にも対応できます。メタルを使わずフルジルコニアでフルマウス治療を行う、という私の理想を実現できるCAD/CAMがceramillでした。
また、現時点の日本では出来ませんが、ceramill自体にはインプラントのアバットメントを削ることができる性能があるように、これからさらに多くのことができるというCAD/CAMとしての対応力の広さや今後の発展性もポイントとなりました。
そうした検討をしている中で、当医院の副院長であり現在アメリカで歯科医師をしている私の息子に、ceramillのことを伝え、調べてもらったところ、「アマンギルバッハ社のceramillは当時発売されてから間もない最新のCAD/CAMで補綴医、技工士からの評価も高い。」という回答を得て、導入を決めました。

導入時に気になった点などはありましたか?

和田院長:
当初は、なぜレントゲンメーカーの朝日レントゲンさんがCAD/CAMを扱っているのだろうかと疑問に思いましたが、CT、CAD/CAM、口腔内スキャナのトータルソリューションという流れを考えれば、今では当然のことのように思います。残念ながら、導入の時点では、CAD/CAMと口腔内スキャナ、CTとの連動が出来ていませんでしたが、口腔内スキャナの精度が納得できるものかどうかまだ分かりませんでしたし、現段階ではCAD/CAMを導入するだけでも十分メリットになると考えました。
アマンギルバッハ社のceramillはオープンシステムですから、口腔内スキャナやCTとの連携については、将来的に実現されると考えています。私は今後、CAD/CAMとCTのデータを合わせて、サージカルガイドを作りたいと思っています。今はフルマウスのインプラントをフリーハンドで行っていますが、これは並大抵ではない作業です。この作業を精巧なガイドを用いて行うことができれば、フリーハンドで行う場合に比べて1/4程度、今2時間以上かかっている治療が30分ほどで出来るようになるのではないかと思っています。フルマウスの治療を上下で行うとなるとトータルでは6時間近くかかります。そのくらい大変な仕事をやっていますから、その大変な作業が今後新しい製品や機能によって、どのように変わっていくか、展開に期待しています。
また、ジルコニアの色調についてはまだまだ私にとっては不満が残る部分です。口腔内に入れた時に真っ白い色調が目につき、天然歯との違いが分かります。幸い、患者さんはテレビの影響などで、自分の元の歯の色よりも真っ白い歯にしたがる傾向にあります。色調については技工士の方が技術でカバーしてくれていますが、今後はより日本人に合った色調のものを出していただきたいです。

導入後の変化について教えてください。

高橋主任技工士:
これまではフルマウスなどの症例の場合にはメタルボンドを使用していました。しかしceramill導入後は同様のケースであっても一切金属を使用していません。
また、臼歯部にメタルボンドのポーセレンを盛ると破折が多いというのはどこでもいっしょだと思いますが、今はフルジルコニアで作っているので、破折やチッピングもありませんから安心できます。

和田院長:
12本フルマウス用の技工物をceramillで作ると、ピタッと合います。フルアーチでもきれいに合うことにびっくりしています。これまでは金属を使ったフルアーチでの治療はとても大変でしたが、そのストレスからも解放されました。
3本程度まででしたらセットすることはそれほど難しくないのですが、それ以上の大きなもの場合にはセットする時に色々と調整が必要になったりします。ceramillで作った技工物は“スパッ”と入って、“キュッ”と抜けます。これは歯科医師からするとものすごいことです。
単冠でもこれまで以上に、“スッ”と入ります。陰圧になって空気が抜けるかのように“キュッ”となります。ceramillを使いだしてからインプラントではセメンティングをしていません。合着しないでもよいくらいに精度がいいです。仮着材を入れると簡単には外れないくらいに精度が良いですし、場合によっては仮着材を入れないケースもあるくらいです。
患者様には口腔内から一本でも二本でも金属を外してくれるようにカウンセリングをしています。金属アレルギーのことを説明して、体のためにもその方が良いということを伝えていますので、当医院では多くの方がジルコニアを選択されます。

ceramillで作成した技工物に対しての評価はいかがでしょうか?

高橋主任技工士:
適合に関しても文句なく良いです。まったく問題ありませんし、満足しています。院長からの評価も良いです。

和田院長:
歯というのは、機能的ということはもちろん、解剖学的であることが求められます。そのためには、口腔内に入った時にきれいに見えなければなりません。上下が合うというだけではだめで、単純な形態でもよいので、角がなく流れるような歯の形になっていないといけません。
ceramillで作った技工物は形態も良いです。デザインする際に裏側など様々な角度から見て修正できるので、良くなったのではないかと思います。歯牙の解剖学的な形に近いものができています。

導入して良かった点は何でしょうか?

和田院長:
技工物の精度については、ceramillという機械の性能はもちろんですが、扱う技工士の技術によって精度が変わるのではないかという印象を受けています。CAD/CAM導入以前に作っていたものも、私の希望通りの技工物ができていましたから、当医院の技工士の腕はいいという確信があります。CAD/CAMを使用することで技工士の技術が損なわれるのではなくて、技工士の技術を補うことで、さらに良いものを作れる、という点がceramillの良さだと思います。
あとはやはりロングスパンができることがとても良いです。当医院の特長とも合っています。ceramillを知る以前は、金属を使わないロングスパンの治療ができるとは夢にも思っていませんでした。
ceramillを導入したことで、これからは口腔内に金属をいれなくてもいいようになると思いました。

竹平マネージャー:
クオリティの高いものを早く提供できているので、患者様にはとても満足されて喜んで帰っていただくことができています。綺麗で丈夫で早いといったように三拍子そろった治療がceramillで実現できています。
歯数ベースで言えば、一ヶ月で70~80本を削っています。使用し始めた3月中頃から7月末ですでに200本を超えています。半年間で導入費用を回収できたのではないかというほどにフル稼働で使っています。
アバットメントまで削り出したら現在の1台ではまかなえないくらいです。

東技工士:
ジルコニアを使用することで破折がないというのはいい点です。また、デザインしたデータが残っているので、後から同じものを作ることができるというのは大きなメリットです。

高橋主任技工士:
インプラントの上部構造を作る場合には大量の金属を使用するのですが、金属量を少なくするためにデザインするとポーセレンが厚くなって欠けやすくなってしまいます。その破折に悩んでいましたが、ジルコニアを用いると、その心配がありません。金属を使う必要がなくなったことが技工士としては一番うれしい点でもあり、良い点です。

CAD/CAMの導入を検討されている方にアドバイスをお願いします。

和田院長:
ロングスパンブリッジを行うとなれば、ceramillしか選択肢はないと思っています。
1、2本程度を想定するのならば、他社メーカーのCAD/CAMも選択肢に入ってくると思いますが、色々聞いたり見たりすることが大事です。
少しの待ち時間に診療室で簡単に作れる技工物の適合性が本当に良いかどうか私には分かりませんが、そのスタイルは私の目指すものではありません。患者様には2、3日でも待っていただきますが、完璧なものを作るということを目指しています。要は何を目的にCAD/CAMを使うかということをしっかり考えてほしいです。

高橋主任技工士:
技工士の立場としては、ceramillならば誰に紹介しても恥ずかしくないCAD/CAMだと思います。

院長の今後の展望を教えてください。
和田院長:
ceramillを使った展望としては、やはりCT等との連動です。CAD/CAM、口腔内スキャナ、CTの連動の流れはインプラント治療にも繋がっていきます。ceramillはメタルも削れますが、ジルコニアを削ってアバットメントに使用したいと考えています。そうすることでインプラントの審美性はとても高くなります。メタルでも審美性はよくなりますが、ジルコニアならばさらに良くなるはずです。
歯科医師としては、口腔内からメタルをなくすことが目標です。患者さんの口腔内を見ると、28本の歯のうち20本ほどは金属だらけになっているというのが日本の現状です。それが嫌なので、そのような状況を変えていくためにも、メタルレスの治療をより進めていき、口腔内に入れる全ての技工物をジルコニアにしたいです。社会も同じ方向に向かっていくと思います。そのためにはこのceramillが必要だと思っています。

本日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。


mailmagazine

PAGETOP